「The Other Flute」

まず演奏会の延期日程決定。

10月16日(金)1900開演

場所は同じ早稲田・東京コンサーツラボ。

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このソロの演奏会には、自分が20代の頃にやっていたスタイルに一旦戻ってみて スタンスを仕切り直す、というような意味合いを込めたつもりで、前回までは演奏する予定の曲たちに対する手前勝手な見解を綴ってみたのだった。

しかし、現在の自分の活動とも照らして先に進むと言う意味で考えるとそれだけでは面白くないので、自分でも1曲作ってみることにした。

30代以降、機会があるたびさまざまな場面で、自己流ではあるけど作曲を試してきたのである。

もちろん体系的な訓練を積み、年中作曲のことばかり考えている人たちには敵うわけがないところもあるのであり、自分を「作曲家」なんて自称するのは実におこがましい所業だと自覚しつつも、作曲をすることで演奏に対する視野も間違いなく相互作用的に広がる、という感覚を一度おぼえると「創作」の方向に対しても自分の可能性を試すように働かないとバランスが取れない気がしてしまう。

「演奏」に軸足のある人間が「創作」にまで手を広げるのは、本来ならとても自然な欲求だと思われるし、他人が作ったものをひたすら演奏するだけのスタイルと違って、拠って立つ足場は広くなり風通しが良くなる。

月並みな言い方かもしれないが、「創作」というのは天井知らず、無制限の感覚なのであって、そのことが演奏に与える影響は計り知れないのである。

そして何より「自分がこうしたい」という主語が、確固としたものになってくるのを感じる!

今回にしても「自分も作る」という立場から他の作曲家たちの曲を眺めることでしか生まれない「共感」があるように思うのである。

今回、演奏会のタイトルは「The Other Flute」とした。

これはアメリカのフルーティストで作曲家のロバート・ディックによるフルートの研究書のタイトルからとったのである。

「伝統的なありようとは違う、フルートの別の可能性」とでもいうような意味合いとニュアンスだろうか。

自分の現在地を模索するにはなかなかの言葉だと思ったのである。

新曲のタイトルも「Entering into the other flute」としようと思う。

1975年に出版されたディックの本のタイトルを借りて、2020年の「The Other Flute」のイメージを打ち出すことができるだろうか・・・・・・・



演奏会を10月に延期にしたことで、この”メモ”の集中連載も、ちょっと間抜けなタイミングになってしまった感が否めない。

ここで一旦連載を中断して、夏の終わり頃からまた、新曲の進捗で呻吟する「創作ノート」という形で再開してみようかな、と目論んでおります。

それではみなさま、しばし!!